この家には「風の道」が通っている。
どこからともなく、優しいそよ風に、ついうたた寝をしてしまいそうだ。
ウチとソトのつながり、部屋をつなぐ「間(ま)」のありかたが風の道をつくり、延いては心地よさを生んでいる。
私たちにとって、毎日のアタリマエを楽しく過ごすことは設計の大前提だ。
日常の中にある小さな名もなき家事たちを、楽しく行えたらどれだけ毎日が充実するだろうか。
買い物から帰ってきた物の収納を楽にするために、玄関、パントリー、キッチンを一直線に繋げた。
土間には外から出入りができるようにドアを設け、汚れたものを室内に持ち込まない工夫を。
洗濯物は干す→しまう→たたむ、を一箇所で完結できる空間を。
洗面鏡は大きくし、忙しい朝でもイライラしないように。
姿・形ばかりでなく、毎日の暮らしを丁寧に見つめ、
一つ一つの場所やシーンを深く考え、
住まう人が永く、いつまでも快適に暮らせるよう設計した家だ。